ユーロの光と影~その2:欧州域内の過剰な与信拡大と危機の発生

ユーロ圏の中で、2008年の危機が発生するまでに起こっていたことを非常に単純化して言うと、ドイツなど北の国は輸出を伸ばし、ギリシャなどの南欧諸国はそれを消費しました。消費に必要なお金はやはり北の国の銀行が貸し出しました。これ自体、特に問題があるわけではありません。世界には経常収支の黒字国もあれば赤字国もあり、赤字国が黒字国から、赤字を埋め合わせる借入を行なうのは普通のことです。
問題は、借入の金利が低すぎたことです。ユーロの導入は為替リスクを消滅させました。そうなれば、相対的に高い利回りのギリシャ国債は魅力ある投資商品です。ギリシャばかりではなく、イタリア、スペインなどの利回りの高かった国債がユーロ導入前夜に世界中の投資家に買われました。邦銀もこの時南欧国債を相当買っています。このため、南欧諸国の国債の金利はドイツ国債と同じくらい低くなってしまいました。
国債利回りは、その国の貸出金利の基準です。これが下がれば、住宅ローン、自動車ローン、すべての金利が下がります。このためギリシャをはじめとする南欧諸国で借入が大幅に伸び、実力以上に景気が盛り上がりました。景気の山の後にはいつかは必ず谷が来ます。実力以上に高い山の後の谷は非常に深いものとなり、金融危機と国の債務危機に発展しました。
ここまで問題が大きくなると、問題国への財政支援とか、金融再生の共通の基金作りなど、もっと強い統合による政策がないとユーロ圏は成り立たちません。その仕組み作りに苦しんでいるのが今のユーロ圏なのです。財政的な統合を強めた新しいユーロに脱皮するしかありません。さもなければギリシャ問題は繰り返されてしまうのです。