特別引出権(SDR)

1950年後半より米国の国際収支の赤字が拡大すると、通貨ドルの信認が低下し、1944年より続いてきた金・ドル本位制が揺らぎ始めました。やがて金およびドルが、国際取引の拡大を支え安定的に供給される国際流動性(国際取引の決済のため必要となる資産)としては不十分、と国際的に議論されるようになりました。そこで国際通貨基金(IMF)は1969年、それらを補完する新たな準備資産として、SDR(特別引出権。加盟国通貨の利用に対する潜在的な請求権)を創設しました。
SDRを使用するためにはIMFに加盟する必要があります。SDRとは、国際流動性を必要とするIMF加盟国がIMFを通じて他の加盟国に請求し、自由利用可能通貨を受け取るための請求権で、IMF協定に定められた特定の状況になると、クォータ(IMFへの出資額)に比例してIMFより配分されます。
SDRの価値は創設当初1SDR=1ドル、または金1/35オンス相当でしたが、1973年にブレトン・ウッズ体制が崩壊したことで、16通貨から成る通貨バスケットとして再定義されました。その後、欧州統合や2016年の中国人民元採用を経て、現在SDRバスケットは米ドル、ユーロ、円、英ポンド、人民元の5つの自由利用可能通貨で構成されています。SDRの価値はこれら各通貨量の価値をそれぞれドル換算したものの合計であり、その値や換算相場は毎日IMFのホームページに公開されています。バスケットの構成は5年ごと、またはそれより早期に、各国の経済状況に応じて見直されます。