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オフショア市場

オフショア市場は、非居住者(外国企業や外国政府等)より資金を調達し他の非居住者に投資して運用する非居住者間の金融取引(いわゆる「外-外取引」)が、国内金融市場の取引とは分別して行われる国際金融市場です。税制や金融規制(金利、為替管理等)といった制約を国内市場より少なくし、より自由な資金調達や金融取引を促進することを目的に創設されています。なお「オフショア」とは「岸から離れた」の意で、その市場が国内金融市場から切り離されて運営されていることから名付けられました。オフショア市場はさまざまな国や地域で存在しますが、市場によって規制基準や透明性が異なっています。
日本では1986年12月に、円の国際化を目指し「東京オフショア市場(Japan Offshore Market: JOM)」が開設されました。取引参加者は、非居住者および特別国際金融取引勘定(オフショア勘定)をもつ国内の金融機関に限定されています。国内の金融機関がオフショア市場に参加するためには財務大臣の承認を得てオフショア勘定を開設し、通常の国内資金取引とは会計を分ける必要があります。
オフショア市場は主に3つの形態に分けられます。

①    「内外一体型」・・・ロンドン市場、香港の人民元オフショア市場のように、オフショア市場と国内市場間の資金移動が一体となっているもの。
②    「内外分離型」・・・ニューヨークのIBF(International Banking Facilities)、シンガポールのACU(Asian Currency Unit)、日本のJOMのように、オフショア市場と国内市場間の資金取引が別に管理されているもの。
③    タックス・ヘイブン(租税回避地)型・・・パナマ、ケイマン、バハマ、バミューダの市場のように、その国や地域にペーパーカンパニーを設立し、記帳だけを管理することで無税または低税率を享受できるもの。金融市場としての実体はほとんどありません。

 このようにオフショア市場では金融面、税制面で優遇されていますが、一方ではその優遇や取引内容の高い秘匿性に対し、脱税やマネーロンダリングの温床となることへの懸念から、近年監視が強化されています。