欧州安定メカニズム(ESM)

2009年12月にギリシャで発覚した多額の財政赤字を発端に、アイルランドやポルトガル等にも金融不安が波及し、「欧州債務危機」が発生しました。このとき財政危機に陥ったユーロ加盟国を対象に資金支援を実施するため、欧州連合(EU)は2010年6月、条約に根拠をもたない「時限的」な危機対応メカニズムとして、欧州金融安定ファシリティ(EFSF)を設立しました。その後「恒久的」な危機対応メカニズムの必要性も高まったことから、2012年10月、条約(ESM条約)に基づき、欧州安定メカニズム(ESM)が設立されました。
ESMはEFSFの後継として、2013年7月よりその業務を引き継ぎました。同時にEFSFは支援プログラムの新規受付を停止しましたが、EFSF時代に実施されたプログラムの支援金がすべて回収されるまで解体されないため、現在もESMと併存しています。
ESMの主な目的は、①財政危機に陥ったユーロ加盟国や銀行への融資、②ユーロ圏の金融安定化です。加盟国はユーロを導入する国々と同様で、現在19ヵ国にのぼります。ESMの融資可能額は最大5,000億ユーロで、その原資はEU全体に対するESM加盟各国の人口やGDPの割合から算出された拠出金の払い込みです。負担割合が大きい主な国はドイツ、フランス、イタリアです。
ESMの金融支援活動は、EU全体ではなく、あくまでユーロ圏の金融システムが脅かされた場合にのみ実施されます。また、実施にあたっては国際通貨基金(IMF)と「緊密に協力する」ことが求められ、過去に機動性の低下が問題視されたことから、「欧州版IMF」設立の構想が浮上しています。