インフレターゲット

一国の中央銀行が金融政策の中心的な目標を「物価の安定」と定めたうえで、中期的な(約2、3年)物価上昇率(インフレ率)の目標値または範囲を公表し、その達成のために金融政策を講じるという金融政策の枠組みを「インフレターゲット」といいます。IMFによると、世界で初めてインフレターゲットを導入したのはニュージーランドで、1990年にさかのぼります。導入のタイミングは国によってさまざまで、①マネーサプライと実体経済との関係が不安定化したとき、②高インフレが長期化したとき、③金融危機に遭ったとき、等が挙げられます。
ターゲットは、中銀のインフレ予想と政府が適切と判断するインフレ率とを比較し、中銀によって設定されます(国によっては政府単体、または中銀と政府協働の場合もあります)。採用する多くの国ではターゲットの水準を一桁台の低い数値、または「〇%~〇%」や「〇%+上下の許容幅」と幅をもたせています。中銀は目標達成すべく金利の上げ下げ等といった金融政策を講じていきますが、政府の影響なくさまざまな手法がとれるよう中銀の独立性はある程度保障される必要があります。
インフレ率の物差しとなる物価指数は、消費者物価指数や個人消費支出(PCE)デフレーター等、国によって異なります。なお、目標未達によるペナルティーを課す国はほぼ存在しません。
インフレターゲットの利点は、数値の目標または範囲が明示されることで現状の物価水準がインフレなのかデフレなのかが把握できるとともに、ターゲットに向けた中銀による金融政策の手法についても透明性が高まる、ということです。この結果、物価水準の高い安定性につながるとされています。