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資本取引自由化と金融自由化

今日、途上国の金融市場の発展経路として、金融自由化があって次に内外の資本取引自由化を進めるという順序が好ましいとされます。国内の自由な競争環境を作り個々の銀行の競争力を高める。更に監督制度や預金保険制度などを整備して自国の金融システムを強靭にする。その上で資本取引自由化を進めるべきだというのです。これは、資本取引自由化を進めると巨額の資金が流出入するため、それだけ不健全な貸出が積み上がったり、金利や為替相場が急激に変動するリスクが高まるためです。
しかし、今の先進国が発展途上の時代は、資本取引自由化と金融自由化の進め方に明瞭な順番はありませんでした。むしろ資本取引の自由化が先行した面が多々ありました。これは、先進国が発展途上の時代には更にその先を行く金融資産を沢山持った先進国がいなかったため、資本取引を自由にしても今のようにいきなり巨額の資金が流入してくることがなかったからです。
今日の途上国は、それだけ難しい金融自由化、資本取引自由化の舵取りを求められていると言えます。