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外貨準備の必要性

外貨準備とは、「国際通貨として認知された外貨」の準備です。
どのように作るかというと、ある途上国Aが、輸出旺盛で貿易収支が黒字だったとしましょう。この黒字と同額が投融資として海外に流出すれば、A国全体の外貨の入り払いはバランスし、為替相場も安定します。しかし、成長を見込んだ大量の資本流入があると、資本収支も黒字となります。A国の為替市場には、大量に流入する外貨を売る者が過多の状態になるわけです。
この外貨需給の偏りを最終的に吸収するのが中央銀行です。つまり中央銀行がA国通貨売り外貨買いをします。その買った外貨が中央銀行の資産として貯まる。これが外貨準備です。
外貨準備はA国が将来遭遇する様々な緊急事態に使われます。何らかのショックで突然、通常の経済取引で外貨が入ってこなくなっても、エネルギーなど最低限の物資を当面輸入するために使われます。また、海外から借りている短期資金が突然借り換えできなくなることも起こるでしょう。そんな時、為替介入の実弾にもなる外貨準備というゆとりの資産があれば安心なのです。
かつては、輸入額の3か月分の備えというのが外貨準備の目安とされました。しかし、1990年代以降、メキシコ、タイ、ロシア、ブラジルと繰り返される途上国の通貨危機のため、外貨準備の保有目的も、金融取引への備えが重視されるようになりました。短期性対外債務の額が目安となったのです。アジア通貨危機以降、アジア諸国は外貨準備を多く持つことを非常に重視しています。

アジア諸国の外貨準備の推移